雑記帳

つれづれなるままに

【読了#9】又吉直樹 劇場

 

劇場

劇場

 

火花が話題になった時「芸人の書く小説なんて…」と思ったものです。

冷やかし程度の気持ちで手に取ったら、意外とちゃんとした小説だったことに驚いたのをよく覚えています。

 

火花は主人公がお笑い芸人という職業でしたが、今回の【劇場】は主人公が売れない劇団員。

コミュ障なところも持ち合わせているんだけど、彼女と出会った時の積極的なアプローチが気持ち悪いくらい前のめりで笑ってしまいました。

この主人公、とても難しい。

攻撃的だけど大人しい、なんとも扱いにくい男です。

 

火花もどこかもの悲しい雰囲気が漂っていたけど、この劇場もそんな感じでした。

常に何かに悩み、雲が晴れない。

芥川リスペクトの又吉らしい文章なんだろうな。

 

気持ちが離れていっている彼女を、ストーカーみたいに追いかけて探し回るシーンがあるんですが

そこまでするなら大切にしてあげなよ、結婚してあげなよ…って思うのは自分が女だからでしょうか。

 

ラストはとても胸にくる、切ない終わりだったと思いました。

又吉の書く恋愛小説は難しいけど切なくて良かったです。

火花より読みやすい!

【読了#8】中島たい子 心臓異色

 

心臓異色

心臓異色

 

漢方小説という本で中島たい子さんのファンになり、作品を何冊か読みましたが

この本は今までの雰囲気とは少し毛並みが違っていました。

架空の未来でのストーリーからなる短編集です。

 

「家を盗んだ男」のストーリーは、なんだかドラマのようでした。

今まで泥棒をして生きてきた男が、ひょんなことから大切に思える女性と出会います。

そして泥棒から足を洗うことを決意します。

だけど、人生そんなに簡単いくもんじゃない。

2人で住む家を探す時に見に行った中古住宅が、なんと昔泥棒に入った家だったのです。

そこからの展開がドラマチック。

世にも奇妙な〜あたりで、ドラマ化したら面白そうだなぁ。

 

タイトルの「心臓異色」のストーリーもオチが良かった。

良い意味でのどんでん返し。

ファンタジー系は本も映画も苦手だけど、この短編集は読みやすかったです。

 

2週間に一度のペースで図書館へ行くのですが、新しい派遣先で仕事を始めてから体調も崩しがちで

寝る前に本を読む元気がなく、横になるとすぐ寝てしまう毎日です。

読むペースが落ちてきました。

もっと時間が欲しいです!

 

【読了#7】小川糸 ツバキ文具店

 

ツバキ文具店

ツバキ文具店

 

図書館で借りようと思っても、いつも貸出中で中々読めなかった本。

予約というシステムがあることを知り、やっと読むことができました。

 

舞台が鎌倉って聞くだけで、なんだかほのぼのしたお話なんだろうなぁとわくわく。

そういえば、大好きだった漫画の海街diaryも鎌倉のお話だったなー。

 

主人公、鳩子の周りに集まる人達はみんな優しくてキャラが濃い!

中でも私が1番好きなのは男爵。

古き良き昭和の男性感が、とても魅力的でした。

こういう気難しそうなオッサンって、好き嫌い分かれると思うけど。

でも美味しいお店を知ってたり、意外とオシャレなお店を知ってたりするから侮れないもんです。

最近の男性に欠けてるであろう、多少強引な所が男らしくて好きだなー。

飲み友達になりたいわ。

 

それにしてもよくわからなかったのが、鳩子がなぜ祖母に育てられたのか。

母親から子供を引き離す祖母って一体…。

最後まで母親は出てこないし、なんだかモヤモヤしたまま終わった感じです。

 

インフルエンザ到来

毎年「インフルエンザ大流行」のニュースを目にしますが

我が家にはインフルエンザのウイルスとは縁がないようで、一度も罹ったことがありませんでした。

 

 

 

しかしながら、今年は母が生まれて初めてインフルエンザになりました。

今年流行っているらしい、熱がほとんど出ないタイプでした。

初めはただの風邪だと思っていましたが、どうも様子が変。

 

いつもなら母が風邪をひいても咳をそんなにしないのに、とても苦しそうな咳をしているし

熱は平熱なのに、3日たってもぐったりしていて良くなる気配がありませんでした。

 

病院へ行って一応インフルエンザの検査を受けると、見事にA型陽性反応。

1週間ほど寝室に監禁。

炊事、洗濯、買い物、掃除など全て引き受け、フルタイムで働きながら看病しました。

 

仕事が終わって買い物をしてから帰宅し、ヘトヘトになりながらご飯を作っている時に

父が一切の家事を手伝わず、呑気にテレビを見てソファに座っている姿を見ると

バカバカしさが最高潮に達し、お金にならないのに苦労している虚しさでいっぱいになりました。

後ろからどついてやろうか、とさえ思う毎日でした。

 

フルタイムで仕事しながら子育てと家事を両立してる女性は、本当に素晴らしいし

家で親の介護をしている人も本当にスゴイです。

近い将来、そうなる日が来ることは分かっているのですが

すぐ父親に対してストレスを感じる自分には気が重くなる現実だなぁ、と

母のインフルエンザが治るまでため息ばかりついていた1週間になりました。

 

母のインフルエンザがうつることは無かったのですが

1週間ドタバタでストレスも最高潮だった上に、秋田にいる祖母が亡くなった知らせが来てガックリきてしまい

次は私が風邪をひいてダウンして、寝込んでしまいました。

今年は風邪も厄介です。

気をつけましょう。

【読了#6】重松清 その日のまえに

 

その日のまえに (文春文庫)

その日のまえに (文春文庫)

 

病気で余命宣告をされた家族や友達、本人が「その日」を迎えるまでのお話でした。

感動って言葉を使ってしまえば簡単だけど、それだけでは言い表せない気持ちになります。

じわじわとこみ上げてくるものがあって、久々に活字を読んで涙しました。

 

「その日」が来るのが分かっている妻が、自分が亡くなった後で読んでほしいと残していたメッセージがとても重かったです。

「その日」を迎えた後も生きていかなければならない夫の事を思い

わざと突き放すような内容とも思える、短いメッセージ。

冷たいと感じる人もいるでしょう。

だけど、女性の方が現実的だし覚悟を決めたら男性より強かったりするので

女性目線で読むと納得できるメッセージだと思いました。

 

身内や親しい人を亡くされている人には、読むのが少し辛い作品かもしれません。